データを使って組織を動かす「コミュニケーション力」の高め方 ~Forbusより~

データを見るコミュニケーション

この記事はForbesより転載しています。

IT専門調査会社、IDCによれば、2016年から2025年までの10年間に世界のデータ量は10倍に膨れ上がるという。

マーケターは、今や当然のようにデータの活用能力を期待されるようになった。しかし、データ分析スキルを高めるだけでは不十分。あわせて、コミュニケーションスキルも高める必要があることにお気づきだろうか?

ひと昔前のマーケティングは、一部の専門家が密室で作った長期計画を粛々と進めるスタイルが多く、今に比べればデータを使って誰かを説得する頻度は少なかった。しかし、デジタルの時代は顧客との距離が縮まり、あらゆることが予測不能なスピードで変化している。

現代のマーケティング部門は、他部門と有機的につながることはもとより、組織として機動性をもってマーケットに対峙しなければ勝ち残れなくなった。だからこそ、データを使って人を巻き込み、必要な支援を受け、組織を動かすための、コミュニケーションスキルが問われているのだ。

データを使って効果的にコミュニケーションし、組織の意思決定を促すには押えるべきポイントがある。それは「感情」だ。

実は多くの意思決定は、ロジックではなく感情に基づいてなされている。米国の脳神経科学者・大学教授アントニオ・ダマシオ氏の研究で、脳の感情を司る部分が損傷している患者たちに、様ざまな意思決定を行ってもらおうとしたところ、患者はロジカルな決定をするどころか、決定すらできなかったという。データや理屈を並べるだけでは、人を動かすことができないのだ。

では、人間の感情にうまく働きかけながらも、データに基づいた意思決定とアクションを組織で一体となって推進するには、どのようなコミュニケーションをとるべきか。マーケターに役立つ3つのヒントをお伝えしよう。

1. ガラス張りの情報共有で、信頼関係を構築

情報共有を透明化し、マーケティングの状況を常にあらゆる関係者に見えるようにしよう。マーケティング計画や予算、ROIの状況は、広く共有してはいけない、と教えられてきた人も多いのではないだろうか。しかし人間は、状況が見えないと不安になる。その結果、「共有」や「報告」に終始する会議が増え、組織の生産性は低くなる。

多くの情報を「ガラス張り」にすれば、デメリットよりメリットの方がはるかに大きいことにすぐ気がつくだろう。無駄な会議が激減するのはもちろん、チームの信頼関係が構築され、組織が一体感を持ち、効率的に動けるようになる。

2. 相手の視点になって考える

相手の役に立つ情報、アクションを取りたくなる情報を、先回りして提供しよう。データがたくさんあると、つい自分の目線でグラフを並べ立ててしまいがちになる。人を動かす鉄則は、相手の欲しいものを考えることだ。

例えば、対経営者の場合。バナーのクリックスルー率を共有しても経営者のアクションには繋がりにくいが、マーケティング予算をどれだけ追加したらどれくらい売上が増えるのかを知ることができたら、追加予算の配分をすることができる。

3. 「ストーリー」を語り、心を動かす

どんなに重要なデータや示唆に溢れたインサイトを見つけたとしても、関係者がそれを理解し、納得し、行動に移さなければ意味がない。

スタンフォード大学のチップ・ヒース教授によると、ストーリーとして語られた内容は63%の人が記憶できるが、単なるデータに過ぎないものは5%の人しか記憶できないという。データやグラフを並べてただ説明するのではなく、ストーリーとして心に語りかけることにより、人の記憶に残り、説得力を高め、行動につなげることができる。

もはや、一部のアナリストやデータサイエンティストだけが、データを分析し利用する時代ではなくなっている。経営層から現場のスタッフまでのあらゆるビジネスユーザーが、データを日々の業務としてみずから確認し、関係者に共有し、協力してアクションを起こす。そのためのスキルを身につけると同時に、インフラを整えることは、現代のマーケティング部門には不可欠と言えよう。

この記事はForbesより転載しています。

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