この記事は、NHK NEWS WEBの記事を転載しています。
部下と上司が面談を頻繁に行う「1on1ミーティング」と呼ばれる人事制度の導入が大手企業の間で始まっています。アメリカ シリコンバレーでは広く導入されていて、コミュニケーションを深め、仕事の成果を上げることが期待されています。「1on1ミーティング」は、部下と上司が1対1の面談を週に1回といったペースで行うのが特徴で、形式的にならず、意見交換や部下の評価ができるとして、アメリカ シリコンバレーでは広く導入されています。
日本の大手企業の間でも導入が始まっていて、大手電機メーカーの「パナソニック」は今年度から全社で導入しました。
面談は原則2週間に1回で15分程度とし、日々の業務で課題に感じていることや目標の進捗(しんちょく)、それに将来のキャリアプランなどについて話し合います。
頻繁に面談をすることでコミュニケーションが深まり、昨年度、試験的に導入した部署で行ったアンケートでは、社員の半数以上が「仕事の成果が上がった」と答えているということです。
このほか「日清食品」や「ソニー」、それに「楽天」なども「1on1ミーティング」を導入しています。
コンサルティング会社の「ビジネスコーチ」によりますと、導入の依頼を受けた企業は去年1年間で53件と3年前の7倍近くになり、ことしも先月までの依頼が49社に上っているということです。
ビジネスコーチの橋場剛副社長は「部下が主体的に行動できる企業風土をつくりたいという企業が増えている。この流れはまだ続くのではないか」と話しています。
この制度導入した企業では
制度を導入した「パナソニック」では、全社員が上司と原則、2週間に1回のペースで面談をしています。面談は15分程度です。
今月行われた入社4年目の経理担当の社員の面談では「制度の説明をする際に使う資料が見にくいと言われたが、解決策がわからない」などと業務上の悩みを相談しました。
これに対して上司は「いきなり資料を作り始めるのではなく、まず、要点を書き出したほうがいい」などとアドバイスしていました。
そのうえで、資料づくりがうまくいったかどうかを次回の面談で確認することになりました。
また、この社員が将来、海外で働く目標を持っていることから、上司は、海外勤務では現在の職場より、ほかの部署の社員とのコミュニケーションが増えることなどをアドバイスしていました。そして海外勤務の準備になるよう、今後、与える業務を工夫すると伝えていました。
「1on1ミーティング」について、この社員は「時間をとってもらうことでふだんの仕事の中では相談しにくいちょっとした悩みも相談できる。面談が年に数回だった時と違い、いま悩んでいることのアドバイスを聞いてすぐに実行できるので、自分で吸収できている感じがします」と話していました。
また、上司は「ふだん部下がどういうことを考えているのかよくわかるようになり、仕事がスムーズになった。ふだんの仕事のプロセスも見えるようになったので、評価もしやすくなった」と話していました。
パナソニックコネクティッドソリューションズ社人事担当の杉江拓治主幹は「上司の指示どおりに動く働き方から、一人一人が考えて行動する働き方に変えなければならないと思い、導入した。上司と部下のコミュニケーションが良好になることによって、仕事の生産性をあげる効果が出てきている」と話していました。
情報提供元:NHK NEWS WEB
本記事の掲載元:
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190518/amp/k10011920781000.html