AIで顔認証、おやつにビスコ 企業の保育所に光る自社技術 人材確保、企業PRにも一役

この記事は、神戸新聞NEXTの記事を転載しています。

従業員らの子どもを預かる「企業主導型保育所」で、兵庫県内企業が園の運営に自社技術や商品を生かす例が相次いでいる。子育て世代の社員をサポートするだけでなく、自社への愛着を高めてもらったり、企業PRに生かしたり。食育や安全確保など保育の質を高めつつ、仕事と育児の両立支援で人材のつなぎ留めも図っている。(伊田雄馬)

■「食」に興味持たせる

 「水をたっぷりやろうね」。畑で子どもたちがじょうろを手にはしゃぐ。育てているのはトマト、キュウリ、ナスなどの野菜だ。

 江崎グリコの子会社「関西グリコ」はこの春、同社の生産拠点・神戸ファクトリー(神戸市西区高塚台)の近くに、「こどもぴあ保育園神戸」を開設した。

 園の売りは食育。園内の庭で育てた野菜は給食で使う。調理室の扉はガラス張りにし、園児が調理風景を見られるようにした。

 歯が生えそろった子には看板商品「ビスコ」、乳幼児にはグループ会社が開発した液体ミルクを飲ませる。「自分の子どもに食べさせたいお菓子を作っている、という誇りや会社への愛着につながる」(江崎グリココーポレートコミュニケーション部)と強調する。

 神戸ファクトリーは約1100人が働く同社の基幹工場で、約6割が女性。保育所を求める声が多く、約2年かけて準備した。今後は利用状況を見定めて、地域住民の利用や工場見学者の子どもの一時預かりを検討する。松下明信社長(59)は「子どもたちにも食べることに興味を持ってほしい」と話す。

■顔認証で安全確保

 貨幣処理機大手「グローリー」(姫路市)は2016年、「Gキッズホーム」を開いた。フルタイムで働く社員の子どもを最大21人預かる。

 保育所には、同社が強みを持つ人工知能(AI)を利用した顔認証システムを導入。保護者の顔や車のナンバーを登録し、送迎の際にはカメラが検知して職員に知らせる。園内や庭にあるカメラで園児の顔を撮影し、昼と夕方に園児の写真を保護者に自動でメール配信する。

送迎の保護者を顔認証カメラで見極めるグローリーの保育所(同社提供)
参照元:神戸新聞NEXT

 同社は他の保育所向けに同様のシステムを提案。ショールームでは動画で保育所の様子を紹介し、PRにつなげているという。

 同社は「自社の保育所で先駆けて使うことで有用性が確認できた。社員からも『安心して預けられる』と喜ぶ声が寄せられている」(コーポレートコミュニケーション部)と話している。

【企業主導型保育所】 
2016年度に内閣府の事業に基づき新設された認可外保育施設。一定の条件を満たせば認可施設と同等の補助を受けられ、近隣住民向けの「地域枠」を設けることもある。助成金の審査などを行う児童育成協会によると、17年度は全国で2597施設。18年度も1500以上の施設が新たに助成対象となる見通し。兵庫県内では18年5月時点146施設で、現在は「200以上になっている可能性が高い」(県こども政策課)という。

情報提供元:神戸新聞NEXT
本記事の掲載元:
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201905/0012319999.shtml

企業内保育所の菜園で野菜に水をやる子どもたち=神戸市西区高塚台7
参照元:神戸新聞NEXT

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