※この記事は、ニコニコニュースの篠原あかねさんの記事を転載しています。
2018年はパワーハラスメント(パワハラ)に関する残念な話題がマスコミを賑わせた年でした。民間企業、スポーツ界、またつい先日には自衛隊での出来事が報じられました。
コンプライアンス研修を多数実施している弊社には人事担当者や役員の方から数々のご相談が寄せられました。
「パワハラ」が怖いのは、部下より役員や上司?
ハラスメント相談のトップ3。まず1番が「パワハラを恐れて部下を叱れない」ことです。管理職は部下を指導・育成することも仕事のひとつですが、これだけパワハラの社会的関心が高まると、本来、注意すべき事柄でも注意できず、結果的に人が育たず、組織のパフォーマンスが落ちるという悪循環になっています。
2番目は「経営層の理解不足」です。50代~60代の経営層の方の中には「自分が若い時代はこのくらい当り前だった」という感覚の方がいらっしゃいます。現場からパワハラの訴えがあっても取り合わないケースです。
そして3番目が「労働者側の知識不足」です。勤務態度や仕事のミスで本来は叱られて当然の事柄でも過剰に反応し、パワハラと訴えるケースがあります。
このように社会、企業からの関心が高まるなか、2019年はパワハラ防止措置の義務付け元年になりそうです。
厚生労働省は、労働施策総合推進法を改正し、職場におけるパワハラ防止規定を盛り込み2019年通常国会での成立を目指します。
法律で明確にすることで「パワハラは許されないものである」と、企業や労働者に言動への注意を求め、抑止効果を高める狙いがあります。
具体的にはパワハラ相談窓口の設置や処分規定などを設けることになるでしょう。
職場のコミュニケーション、大丈夫ですか?
皆さんご存知のとおり、セクシャルハラスメント(セクハラ)は男女雇用機会均等法、マタニティーハラスメント(マタハラ)は育児・介護休業法で防止措置を課しています。
研修先の企業で拝見するコンプライアンスガイドブック(マニュアル)にもセクハラ、マタハラについての記述があります。ところが、パワハラの防止措置を定める規定はありません。現在でもパワハラについて言及している企業はありますが、今後は改正される労働施策総合推進法が一般的となり、また防止のための啓蒙活動も進むことでしょう。
しかし、パワハラ防止のためには、このような法的整備や経営層を含めた全社員の正しい知識と理解だけでなく、日ごろのコミュニケーションが必要不可欠です。業務について体系的なトレーニングを受けたことのある方は多くても、コミュニケーションについてそのようなトレーニングを受けた方は多くありません。
しかし、私はわずかなひと言が悲劇的な結果を招く事例をよく見ています。また、先ほどの相談トップ3はすべてコミュニケーションの問題が背後にあります。コミュニケーションというと簡単に考えがちですが、傾聴や指導におけるNGワードといった基本から、相手の認知特性に応じた対応まで多くの課題があります。
2019年は、「職場内コミュニケーション元年」ともいえるでしょう。(篠原あかね)
情報提供元:ニコニコニュース
本記事の掲載元:https://news.nicovideo.jp/watch/nw4539254