企業が社員を採用するためには莫大なコストがかかります。それは企業にとっては大きな出費ともなりえます。
限られた資金の中で質の良い人材を採用するために、企業は採用コストの削減をする工夫が求められています。では、実際に企業が新卒採用にかけている費用総額はいくらなのでしょう?
新卒採用にかかる平均コスト
新卒採用サイト大手の株式会社マイナビが発表した「2017年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によると、2016年度(2017年卒)の入社予定者1人あたりに企業がかけた採用コストの平均は、46.1万円となっています。
また、採用費総額の平均は499万で、そのうちの広告費平均は212万となっていますので、新卒採用にかかる費用の約43%を広告費が占めている結果です。乱暴にまとめると平均的な企業は、「広告に年間200万かけ、それ以外に300万かけて、10名入社予定」となります。
この調査に協力している企業は新卒採用に力を入れている企業が多いと想定し、実際の相場感よりは高いと判断したとしても、新卒採用1人あたり40万~50万円の費用がかかると基準におく必要はありそうです。
新卒採用コストの内訳
20〜30人を採用する企業であればその採用コストのおよそ半分が広告費に充てられています。採用コスト総額が500〜600万のうち、200〜300万がマイナビやリクナビといった就職サイトの掲載に使われます。
転職時によく利用する転職サイトに広告を出している企業も、莫大な額の広告費を出費して掲載していることがわかります。
ホームページや入社案内のパンフレットやリーフレットの作成にも200〜300万円が充てられており、会社説明会の会場費や適性試験、面接、交通費といった選考のための費用を合わせると1000〜1500万円にも上ります。
中途採用と新卒採用のコスト比較
中途採用と比較して考えてみましょう。
人材紹介会社を通じて、優秀な中途の人材を採用する場合、手数料の相場は年収の30%です。
例えば、年収500万円の人材を採用した場合は、150万円の採用コストがかかります。大学新卒社員の年収を250万円で設定して考えると、採用コストが1人あたり75万円かかることになります。
当然、中途採用は即戦力ですので同じ30%で考えることはできませんが、このように考えるとそれほど大きな乖離があるようにも思えないのではないでしょうか。
もちろん業界や職種などによって異なりますが、1人あたりの採用コストは、「即戦力の中途は年収の30%、新卒は50万以下でおさまり、優秀な人材が確保」できていれば、その会社の採用活動は平均よりも費用対効果が良いと言えるでしょう。
新卒採用に限らず、人材採用にかかるコストは非常に大きなものであり、企業としても手痛い支出となるでしょう。
採用コストを削減した上で優秀な人材を確保することは常に困難が付きまといます。
近年はリファラル採用などといったコスト削減を意識した採用方式も増えていますが、紹介したいと社員が思える企業でないとリファラル採用を導入しても形骸化してしまうでしょう。
限られた資金の中で効率の良い採用活動を行うためにも、現在行っている活動に無駄はないか、改善するべき点はないかなどを確認することが必要となっています。