近年の新卒採用活動において、内定承諾の結論を保留や内定辞退をおこなう学生が多く困っている企業の声をよく耳にします。
特に売り手市場となった現在、学生をいかに動機付け、入社まで導くかは、企業にとって切実な課題となります。
こういった迷いや不安を抱いた学生にどういったフォローやコミュニケーションの場をもうけるべきか、具体的に考えてみましょう。
内定辞退を避けるためのコミュニケーション施策実例7つ
❚懇親会(飲み会)
「2017年卒マイナビ企業内々定状況調査」(https://saponet.mynavi.jp/release/enterprise/naitei/2017%E5%B9%B4%E5%8D%92-%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%93%E4%BC%81%E6%A5%AD%E6%96%B0%E5%8D%92%E5%86%85%E5%AE%9A%E7%8A%B6%E6%B3%81%E8%AA%BF%E6%9F%BB/)で確認すると、約8割近くの企業が実施している定番の内定者フォローの施策です。
社員や内定者同士の親睦を深めたり、人間関係を構築する意味では必要な施策であるでしょう。しかし、お酒の場でクドクド先輩社員の自慢話などを聞かされたり、具体的な上記の不安を解決するようなアドバイスが無ければ、ただ楽しかったとなり、後日振り返って学生は同じように「結局この会社が自分にとってベストなのだろうか?」と感じてしまいます。
単なる食事会ではなく、食事の前に下記にあげるような企業や仕事の理解を深めるための講話や職場見学会、テーマを決めたグループディスカッションなど目的に合わせたプログラムを組むことが必須と言えます。
❚定期的な連絡や面談
学生が希望する内定先企業との接触頻度は、「1ヶ月に1回程度」が最も多く(47.7%)、「2ヶ月に1回程度」(39.9%)とあわせて8割強の学生は1~2ヶ月に1回程度を望んでいます。
連絡の頻度は少なすぎると学生は不安になり、多すぎると負担が大きくなりますので、適度な頻度にする配慮が必要でしょう。
また、単なる事務的な連絡をおこなう必要がある際にも「○○さん、最近の学生生活はどうですか?」など個人的な声がけをおこなったり、社内報やPR 誌など企業理解に役立つ情報を送付する際などにも採用担当者や先輩社員から直筆のメッセージを添えるなども良いでしょう。
内定者との接点の場は、電話であってもメールであっても人間関係を構築するための貴重な場(時間)であることを肝に銘じ接しましょう。
❚入社5年以内社員によるメンター制の実施
上述の定期的な連絡や面談を採用担当者がおこなうのではなく、学生と年齢が近い社員をメンターに任命し、1ヵ月に1度、内定者の近況報告や悩み・相談事を人事に報告します。
内定者と世代が近くて話がしやすい、実体験に基づいて内定者をフォローできるなどのメリットがあると同時に、メンター(社歴の浅い社員)自身の意識向上やマネジメントのプレ体験をおこなえます。
しかし、これにより採用担当者の労力軽減はあるものの、任命したメンターへの研修や意識付け、人事や採用担当者へのフィードバックの徹底をおこなうこと、またメンター自体のケアなどの業務は必要になります。
❚勉強会・グループワーク・研修
内定者たちはの多くは内定後に、「入社までにしておくべきこと」や「入社一年目の仕事内容」といった仕事内容に付随する情報を得たいと考えています。
そういった内容を提供する場を用意し、企業や業務内容についての理解を深めることは、仕事に対する不安や疑問の払拭に役立ちます。
ただの見学会にならないように、参加する社員が積極的にコミュニケーションを取って内定者が質問しやすいよう配慮することが大切です。実施した研修内容の感想をレポートにまとめて提出してもらうなど仕事への理解を深める工夫をするとよいでしょう。
また昨今の研修では、、ビジネスマナーや基本的なビジネススキル、専門知識や語学など各企業の研修目的に合わせてプログラムを組むだけでなく、スマホやパソコンを活用したeラーニングの実施企業も増えています。いつでもどこでも学習しやすいため内定者が取り組みやすく、達成状況を画面上の確認も可能なため、進捗が遅い内定者へフォローすることができるなどのメリットがあります。
❚職場・工場・研究室などの施設見学
仕事のプロセスを体感してもらうことは、仕事への理解を深めます。
配属予定の職場を見学することで不安を解消することはもちろん、配属予定先とは異なる施設や部署の見学をおこなうことも効果的です。
学生が普段目にしない空間と時間を共有し、入社に向けてのモチベーションを高める効果が期待できます。
以上、内定辞退を防ぐために企業がおこなうコミュニケーション施策を5つ紹介しました。
他にもSNSや教育機能を搭載したスマホアプリを導入するなど、コミュニケーションツールにコストをかける企業も出てきています。